6G 標準化を実現する 10 課題
最近の韓国のワークショップでは、次世代の携帯電話技術に向け準備が始まっています。シズベルの専門家がこの動きをフォローしましたので、その内容を紹介します。
文責:Miqdad Hyder Junejo
先月、韓国の仁川で、携帯電話の専門家が 3GPP に関する総会を開催しました。この総会には、6G に関する初の公式ワークショップも含まれていました。このワークショップは、3GPP レベルでの新世代のセルラー標準化が幕開けしたことを示しています。10 年前の 2015 年にも同様のイベントが開催されましたが、当時は 5G の議論がスタートしたイベントでした。
ワークショップは、携帯電話の次の波に向け、業界の目標や懸念に重きを置くことを目的としたハイレベルな議論となりました。そして、6 G のユースケース、要件、技術仕様を定義しようとしている企業にとって最優先事項となる課題が明らかになりました。また、6G の環境下でどのような技術が開発されるのかについても、初期段階のヒントが得られるワークショップとなりました。
シズベルの 3GPP への関与
セルラー技術は Sisvel Tech の中心的な焦点となります。Sisvel Tech のエンジニアや弁理士が、シズベルのライセンスプログラムに比類のない専門知識を提供します。この技術部門は最近、標準化団体への関与を強化していると、最近の Sisvel Insights インタビューで説明されています。
Sisvel Tech は、標準開発プロセスへの理解を深めるために、2023 年の 3GPP 会議に参加しました。議論がどのように行われるのか、企業がどのように貢献するのか、ディベートやディスカッションのプロセスを経て、最終的にどのようにコンセンサスを取るのか注意深く観察してきました。また、議長や副議長などの意思決定者が、標準化を前進させる役割をどのように担っているのかを理解することにも注力しました。
Sisvel Tech は現在、主に対面での参加形式で、すべての 3GPP 会議に積極的に参加しています。ただし、物理的に参加が不可能な場合は、リモートで進行状況を観察します。現在進められている Release 19 に向けた取り組みにおいて、Sisvel Tech はグループ「RAN1」で サブバンド全二重(SBFD) と アンビエント IoT に関するディスカッションに最も積極的に参加しました。
SBFD は、5G および 5G-Advanced 内のネットワーク容量や低レイテンシーアプリケーションを改善する重要技術です。3GPP Release 18 で初めて導入され、Release 19 でさらに進化することになります。SBFD は、異なるサブバンドでの同時送信および受信を可能にすることで、スペクトル効率を向上させます。また、高度なキャンセル技術で自己干渉を低減します。
アンビエント IoT は Release 19 の機能となり、エネルギーを取り入れるバッテリーレス IoT デバイスとの大規模な IoT 接続が実現します。これにより、スマートシティ、物流、環境モニタリングの重要な構成要素である、費用対効果の高い低消費電力の IoT 展開がサポートされます。
5G から 6G へのロードマップ
3GPP では現在、5G 規格の次リリースとなる「Release 19」に焦点を当てています。この取り組みは、2025 年第 2 四半期以降に凍結されることになっています。その後に 注目されるのが Release 20 となり、5G Advanced と 6G 研究(初期段階)の橋渡しとして機能することが期待されます。正式な 6G 標準化は Release 21 で導入されますが、これに関する重要段階の時期はまだ決まっていません。
以下のタイムラインは、状況を示すものとなります。
上の図に示すように、直近の 6G ワークショップで 6G 研究のフェーズが始まり、平行して Release 20 を中心とした標準化作業が行われることになります。
3GPP News の最新版では、6G 研究の計画についてさらに詳しく確認することができます。
では、どのような課題が 6G のアジェンダに挙げられるのでしょうか?先月のワークショップで得たポイントをいくつかご紹介します。
6G で主要な役割を担う AI
人工知能(AI)と機械学習(ML)は、ネットワークの運用方法を変革し、効率性を向上させる可能性を秘めています。AI が補助的なツールとして機能する 5G とは異なり、6G では AI とネットワークがより深く融合します。次に、その仕組みをいくつか紹介します。
ネットワークの自動化と自己最適化
AI を使用すると、人間を介入させずに、ネットワークをさらにスマート化して自己最適化、自律的なリソース管理、リアルタイムでのネットワーク需要予測を行うことができるようになります。これにより、ネットワークの効率性や信頼性を高めることもできるようになります。AI ネイティブのエアーインターフェイス
ネットワークで AI を使用すると、環境要因やユーザー需要などの変化する条件に適応して、データ送信の柔軟性や応答性を向上させ、パフォーマンス全体を改善できるようになります。大規模多入力/多出 力とビームフォーミングにおける AI
AI を使用すると、多入力/多出力などのテクノロジーを最適化し、信号強度を向上させ、干渉を最小限に抑えることができるようになります。これにより、密集した都市環境などでの接続性も向上します。フェデレーション AI のエッジインテリジェンス
AI は中央システムだけに依存するのではなく、ユーザーの近くで(「エッジ」で)動作して、通信遅延を短縮したり、自動運転、ヘルスケア、仮想現実などのリアルタイムアプリケーションを改善したりすることができます。
また、自律的なネットワークスライシングについても議論がありました。例えば、AI を使用すると、さまざまな業界の特定のニーズに合わせてより効率的なリソース割り当てを行うことができるようになることなどが議論されました。
一方で、このワークショップでは、6G で AI に重点を置くことに伴うリスクについても議論されました。一部の企業からは、AI 統合の複雑さについて懸念が示され、モバイルネットワークでの AI の脆弱性を軽減するための標準化や強力なセキュリティ対策の必要性を訴える声が上がりました。
5G と 6G の相互運用性とサービス継続性
ワークショップでは、5G および 6G ネットワークの相互運用性についても議論されました。専門家は、2 つの世代のネットワークを切り替える際に、ユーザーがシームレスなサービスを体験できるようにすることが重要であると強調しました。ここで挙げられた主なポイントは次のとおりです。
カバレッジとサービス継続性の維持:6G は高速かつ多くの機能を 提供しますが、6G がまだ利用できない地域では、5G と同様のカバレッジを提供することが重要です。
5G への高速フォールバック:6G が利用できなくなった場合は、中断することなく 5G にスムーズに移行できる必要があります。そのためには、5G と 6G のネットワーク間のデバイスハンドオーバーを改善する必要があります。
周波数帯域の共有:5G と 6G はしばらく共存することになるため、共有無線周波数を効率的に管理して、スムーズに移行できるようにしたり、ネットワークの混雑を防いだりすることが不可欠です。
また、一部の企業からは、現在の 5G 投資の価値を維持できるようにするために、後方互換性の重要性を強く訴える声や、異なる地域に周波数帯域を割り当てる際にグローバルな一貫性を確保できるかどうかを懸念する声が上がりました。
その他の主な 6G ディスカッション
その他にも、重要なトピックがワークショップで議論されましたので、いくつか紹介します。
通信とセンシングの融合(ISAC):6G で通信技術とセンシング技術を融合させて、ネットワークが環境を「理解」できるようになるのかどうかについて議論が行われました。これは、ホログラフィック通信やスマートシティ向けの高精度位置情報サービスなどのイノベーションにつながる可能性があります。
持続可能性とエネルギー効率:エネルギー効率の高いネットワーク設計、再生可能エネルギーの使用、AI 対応の電力管理など、環境に優しいソリューションを通じて、6G ネットワークによる環境影響を軽減することに重点が置か れました。
新たな周波数帯域を模索:信号損失や高コストなどの課題への取り組みはまだ続いていますが、超高速通信向けのサブテラヘルツ周波数の可用性についても議論されました。
特に最後の点についてはさまざまな意見が出ました。一部の企業からは、サブテラヘルツ通信の実現可能性を懸念する声や、低周波数帯と高周波数帯を組み合わせてカバレッジや容量の改善を図ることを提案する声が上がりました。また、一部の参加者からは、6G のディスカッションがコアネットワークにばかり集中しているように感じたとの声が上がり、バランスの取れた開発を進めるには無線ネットワークに優先順位を置くことも重要であることを訴えていました。
全速力で前進
6G ワークショップは、関係者が 6G の潜在的なロードマップを検討し、技術的なトピックについて議論し、全体的な方向性を定める重要な機会となりました。3 つすべての分野においてアドバイスが提示され、6G 研究のフェーズへの移行に伴う問題も数多く提起されました。
ほぼ確実なのは、6G モバイル通信により、高速かつ信頼性の高いスマートなテクノロジーが実現するということです。これらの目的を達成する具体的な方法について、より良いアイデアが生まれるように、私たちは標準化プロセスを守り続けます。
Miqdad Hyder Junejo は Sisvel Tech の特許エンジニアです




