ライセンスの摩擦は避けられないものではない。私たちにできることを始めよう

カテゴリ
ライセンスに関する見解
日付
2026年9月17日

Dan McCurdy 氏がシズベルの一員として新たに率いる取り組み、特許ライセンスイノベーションラボラトリーの背景と目的について、本人が語ります

以下は、2026 年 9 月 16 日に Sisvel Connect で Dan McCurdy 氏が語った内容です。

6 月末に RPX の CEO を辞任したとき、リタイアするにはまだ早すぎると自分でも分かっていました。しかし、次のステップが分かりませんでした。分かっていたことは、心から信頼し、尊敬できる人たちと仕事をしたいということ。そして、私が 40 年もの時間を費やした特許エコシステムの改善に取り組みたいということだけでした。

そんなときに現れたのが Mattia です。特許ライセンスをめぐる摩擦が常に生じることは避けられない。しかし、軽減は可能である。これが、私たちが互いに確認した共通認識でした。

私は、キャリアの大半において、企業ライセンシー側で仕事に従事し、特許紛争をより効率的に解決するため、複数の企業をまとめることも少なくありませんでした。一方、シズベルは、数十年にわたり特許権者を集め、特許のライセンスをより効率的に供与してきました。

両者は、市場の相反する側面に対処する立場にありながら、そこには共通するひとつの考えがあります。それは、「集団で取り組むことで、不必要なコストや複雑さを低減する」という点です。ライセンシーは単独で対応するよりも、協力しあって紛争をより効率的に解決できることがよくあります。同様に、数多くの特許権者の特許をまとめたポートフォリオであれば、特許権者それぞれと個別に交渉するよりも効率的にライセンスを供与できます。

しかし、解決策としては、どちらのモデルも完璧ではありません。取引に至るまでの道のりには依然として、検索コスト、情報格差、評価の不一致、反復的な交渉、訴訟などに労力が費やされるという、深刻な障壁が残っています。こうした非効率性が、業界、株主、消費者に毎年、数百億ドル規模の損失をもたらします。その費用の多くは、どちらの側にとっても、発明も、製品も、価値も生み出しません。

少し時間を巻き戻してみましょう。

昨年、Sisvel Connect の後、ライセンサーとライセンシーが集まって、ライセンスエコシステムの状況について議論する機会がありました。そこには、長年の経験と実績を有するライセンス分野のリーダーたちが参加しており、私も参加させていただきました。

それは非常に有意義な議論でした。しかし、多くの価値ある会議と同様、美しく蒸し暑いバルセロナを後にして日常生活に戻ると、アイデアは徐々に記憶の中へと埋もれていきました。

Mattia と私が 7 月上旬に話したとき、私たちが互いに尋ね合ったのは「素晴らしい議論を持続的かつ実践的な行動に変えるには何が必要か?」ということでした。

その問いから生まれたのが特許ライセンスイノベーションラボラトリーです。これは、ライセンサー、ライセンシー、その他のエキスパートたちが重要な問題を特定し、解決策を策定し、それらをテストして改良し、効果を共有することができる、体系的かつ中立的な環境です。

このラボは、新手のプール、管理者、規格化団体、ロビー団体、訴訟企業ではありません。また、一方の当事者の利益を、もう一方より優先することもありません。その目的は、特許権者と実施者の正当な利益とインセンティブを維持しながら、ライセンスの効率性、透明性、予測可能性、有効性を向上させることです。

私たちはシズベルで、まず業界のリーダーたちが、「少なくとも一つの重要なライセンス上の課題について、共同で取り組むことで現実的に解決できる」と合意することを条件に、このラボの設立を支援することに合意しました。

明日の午前中、ラウンドテーブルは 2 回目の会合を開きます。そこで私たちは、次の点を問いかけます。そのような課題は本当に存在するのか。実行可能な解決策を見いだせるのか。そして、最も差し迫った課題の少なくともひとつについて、まずはそこから取り組むために、双方に十分なコミットメントがあるのか。

この分野で 40 年を過ごしてきた私としては、共に解決する価値のある重要なライセンス上の課題がひとつもない、という結論になるとは考えにくいと思っています。

このラボの設立に対して前向きな合意が得られた場合、最初のタスクは統制の取れた具体的なものになるでしょう。多数の課題から優先順位の高いひとつ選択し、適切な参加者と信頼できる情報を集め、競合するアプローチを検討し、解決策を設計およびテストし、結果を評価します。そして、改良を重ねて機能するようになったら、業界で幅広く普及させます。

これは、交響楽団を作るようなものではないでしょうか。経験、野心、強い意見を持ち、ひょっとしたらソリストを目指している、才能豊かなミュージシャンを集めるようなものです。指揮者の仕事は、すべてのセクションの音を行き渡らせ、他のセクションを圧倒しないようにすることです。そして成功するためには、集団演奏で得られる達成感が個々のミュージシャンが単独で得られる達成感よりもはるかに大きいことを、オーケストラメンバーの全員が信じなければなりません。

このラボでは、同じバランス、統制、信頼性、共通の目的が求められます。

私にはこれまで、知的財産関連の共同事業を 5 つ、構築したり参加したりしてきた経験があります。つまり、今回が初めてというわけではありません。ただ、今回の取り組みはこれまでで最も重要なもののひとつになるかもしれません。

私が楽観的でいられるのは、この場にいる皆さんの多くは、世界中の特許ライセンスに対して有意義な貢献を果たすことができる経験、創造性、信頼性を有しているからです。皆さんと一緒に働ける日が来ることを楽しみにしています。

Dan McCurdy は、シズベルの特許ライセンスイノベーションラボラトリー担当エグゼクティブディレクターです

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