放送技術の新時代に向けた新たなビジョン

カテゴリ
デジタル動画および放送
日付
2026年4月02日

2026 年 3 月下旬アムステルダムにて、放送からインターネット中心のコンテンツ配信への移行をテーマに DVB World 2026 が開催され、業界のリーダーたちによる議論が行われました。

文責:Alessandra Mosca および Patrizia La Rosa

シズベルが協賛した本イベントには、100 社以上の企業から 160 名以上の関係者がアムステルダムに集まり、2 日間にわたり放送技術の未来に焦点を当てたセッションが行われました。

シズベルからは Alessandra Mosca、Patrizia La Rosa、Matteo Sabattini の 3 人が、DVB World の特徴である「アンカンファレンス」(参加者主導の自由形式の意見交換)に加え、戦略的、技術的なディスカッションに全日程で参加しました。

以下は、このイベントの主なハイライトです。

DVB プロジェクトは新たな時代へ

1993 年の設立以降、DVB プロジェクトは、主要なメディアおよびテクノロジー企業を集結し、デジタルメディア配信のためのオープンな技術仕様の設計を進めてきました。今年の会議の主な焦点は、同団体が第 3 の時代と位置づけて展開している新戦略ビジョンでした。

そのビジョンとは、「デバイスとサービスのためのオープンなエコシステムを維持しながら、従来型の放送から IP 中心のメディア配信への計画的な移行を可能にすること」です。

この目標の達成に向けて中心となっている複数のプロジェクトや仕様はいずれも、従来の放送システムと新しい技術や配信方法との融合に関与するものです。

その中核の 1 つが DVB-I 仕様です。これは、サービス検索のための標準化されたフレームワークを提供し、最新の単一ユーザーインターフェースを通じて、インターネット配信のコンテンツを従来型の放送チャンネルと並行して検索・視聴できるようにするものです。現在、理論段階から実践段階へと移行しつつあり、イベントでは、実際の導入例や、初期運用から得られた知見について議論しました。

また、DVB-T2(シズベルが運営している 10 社のパテントプールの対象であるデジタルテレビ放送規格)と LTE ベースの配信システムである 5G Broadcast の間の融合も注目を集めました。今回の会議では、1 つの RF チャンネル内で DVB-T2 と 5G Broadcast を同時に伝送する概念実証が行われ、この方式の商業的可能性について多くの議論が交わされました。

さらに、衛星技術も関心の高い分野です。DVB Native IP(DVB-NIP)のライブデモでは、インターネット接続なしに、放送グレードのライブテレビとオンデマンドビデオが、衛星経由でモバイルデバイスに配信されました。

最後に、必然的に AI が議題となり、欧州放送連合の Antonio Arcidiacono 氏が冒頭の基調講演で、この技術が回復力のあるエッジベースの配信によって、いかにしてハイブリッドネットワークを根本的に再構築するかについて解説しました。

特に、同氏は、DVB プロジェクトの参加者が AI を放送に活用するプロセスを推進するのか、それとも「ビッグテック」に先導させるのかという点について、問いを提起しました。このテーマは 2 日目の「アンカンファレンス」でも引き続き議論され、DVB 規格の策定に大手ストリーミング企業をどのように引き込むかという課題に取り組みました。

この 2 日間の総括としていえるのは、メディアの未来は「放送かインターネットプロトコルか」の二者択一ではなく、両者のシームレスな融合にあるということです。

シズベルの知的財産分野における継続的なリーダーシップ

今回の会議では、DVB プロジェクトの知的財産政策のリーダーシップにも大きな変化がありました。

DVB World に先立ち、同団体の運営委員会は役員選挙の結果を承認し、知的財産権モジュール(IPRM)の副議長にシズベルの行政担当統括責任者である Matteo Sabattini が就任しました。シズベルの創業者である Roberto Dini は約 10 年間にわたり同職を務めた後、退任しています。また、IPRM 議長を退任予定の Georg Nolte 氏も、同団体への貢献が認められ、アムステルダムで DVB 名誉フェローシップを授与されました。

DVB World 2026

左から順に:シズベル DVB プログラムマネージャー Patrizia La Rosa、IPRM 副委員長 Matteo Sabattini(シズベル)、DVB 名誉フェロー Georg Nolte 氏、IPRM 委員長 Stephane Tronchon 氏(InterDigital)。写真提供:Michiel Ton

IPRM は DVB プロジェクトの 4 つあるモジュールの 1 つであり、知的財産権の方針に関する提言を行うとともに、関連するその他すべての知的財産権問題への対応を担っています。

DVB プロジェクトは、パテントプールの早期形成を積極的に促進した点で、他の規格団体と一線を画しています。この方針は DVB 標準規格の普及に貢献し、DVB-T2 ライセンスプログラムなど、顕著なプールの成功事例の基盤も築きました。こうしたことから、業界主導の標準必須特許ライセンスソリューションが市場に存在しており、実際のエコシステムのニーズに効率的かつタイムリーに対応していることを再認識できます。

DVB プロジェクトは「第 3 の時代」に突入し、知的財産はメディアのための革新的でオープンなエコシステムを強化するうえで重要な役割を果たすでしょう。シズベルは、オープンで透明性の高い DVB 関連ライセンスプログラムの管理者として、今後もこの取り組みを支援していきます。

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