シズベルの Wi-Fi 6 プールを運用する女性
ライセンスプログラムの成功に必要なこととは?Giorgia Varvelli が語る
Giorgia Varvelli は、シズベルでの 20 年間のキャリアの中で、大 きな成果をあげたライセンスプログラムにもいくつか関与してきました。彼女のキャリアは MPEG Audio のライセンスマネージャー代理から始まり、複数の DVB オファリングにおける指揮を経て、現在の任務である話題の Wi-Fi 6 プールの管理に至ります。そして今、彼女の業務はディールメイキング、プール構築、プログラム管理など多岐にわたります。
Giorgia は、トリノ近郊の None にあるシズベルのイタリア事務所を拠点に業務を行なっています。先月バルセロナで彼女と話をしたときは、ちょうど彼女が Wi-Fi 6 プールメンバーの年次総会を指揮する準備をしていた頃でした。今回、彼女には、プログラムマネージャーとはどういう役職なのか、彼女のライセンス経験がプログラムの実施にどう活かされているのか、Wi-Fi 6 プールでの成長の勢いについて語っていただきました。
シズベルのプログラムマネージャーは何をするのですか?
プログラムや人によって少しずつ違います。Wi-Fi 6 の場合、時間の大半は特許権者への対応に追われます。例えば、彼らのニーズや要求に耳を傾けたり、彼らの疑問に対処したり、必要に応じてプログラムを改善することなどが挙げられます。利害関係者が多いので、皆さんの意見を幅広く受け入れつつ、最終的に折り合いをつけていかなくてはなりません。
2 つ目の主な仕事は、Wi-Fi 6 の特許権者と他のシズベル事業のパイプ役になることです。特許権者に法律関連のニーズがある場合、私が特許権者と当社の法務チームの間に入ります。流通チームや Sisvel Tech などの他の部門に関しても同様です。あらゆるやり取りを調整して進めていくので、とて も時間がかかります。
3 つ目の仕事は、プログラムの全体的な戦略を立てることです。そのうえで、最も重要なライセンシーなど、潜在的なライセンシーについて詳細に把握していることが求められます。また、市場データをレビューして、主要な企業や部門を明確にイメージしておくことも必要です。それには、シズベル内の他のチームとの緊密な連携も必要です。
そうなると、時間がいくらあっても足りなくなります。したがって、実施者との日々の交渉は、必ずしも私が役割を担うわけではなく、専任のライセンス部門が中心となって行われます。ただし、重要度の高い議論はフォローして、現状に対する一般的な見解を示せるようにしています。
技術面ではどの程度関与していますか?
私は弁護士として、商業、ビジネス、法律面の方がメインとなり、技術面に関してはそれ程でもありません。技術的な議論では、Sisvel Technology チームのサポートが不可欠になります。ライセンス交渉では、技術、規格、特許、クレームチャートに関する説明を詳細に行うかたちで交渉者をサポートします。当社のプログラムをサポートする Sisvel Tech 担当者は Wi-Fi のスペシャリストですので、Wi-Fi に関しては隅々まで知り尽くしています。
しかし、パテントプールに含まれる特許を把握していることは、プログラムマネージャーにとって重要なことだと思います。プログラムの業務に取りかかる際は必ず、Sisvel Tech とセッションを何度か開き、当該のライセンスについて詳しく調べるようにしています。これが、各特許権者の特許と、当該特許の特性を把握するということです。私は技術者ではありませんが、市場に提供しているものに対する考え方を明確に示せるようにすることが重要だと思います。
プログラムマネージャーにとって成功とは何ですか?
プログラムマネージャーは裏方として動くのが一番です。ただし、問題が起こったら、中心に立って問題の対処をサポートします。
どのようにして IP にたどり着いたのですか?
法律を学び、契約法を専門に学問を進めていきました。修士論文では、ドイツとイタリアの民法で契約の自由を比較しました。しかし、年月を重ねるにつれて、ドイツが特許訴訟の裁判地として重要であることがわかってくると、自身のドイツ語のスキルや法律の知識が役立ったことが何度かありました。
イタリアで司法研修を終えた後、私は Ferrero のグループ会社に入社しました。ここは、商標や著作権のライセンスに特化した会社でした。
この会社では、ブランドと企業の提携がすべてでした。対立的な議論ではなく、提携の取引条件を定義する建設的な作業でした。技術を無償で使用したがる企業がいるような特許ライセンスとは大きく違いました。
Ferrero で 1 年間勤務した後、ライセンスマネージャー代理としてシズベルに移り、ライセンスを中心とした職務につきました。
最初に手がけたシズベルのプログラムは何ですか?
ライセンシングディレクターをサポートするのも私の役割でした。当時、MPEG Audio は当社最大のプログラムでした。当社のライセンス事業は、さまざまな家電製品に及び、多くの「訴訟のないライセンス」と並行して、積極的な施行プログラムを実施してきました。数年後、私は、デジタルビデオ放送(当初は DVB-T、次に DVB-T2、その後 DVB-S2 と DVB-S2X)に関連する数多くのパテントプールのプログラムマネージャーに任命されました。このときは、純粋なライセンス業務とプログラム管理業務をおよそ半々の時間配分でこなしてきました。
その後、Wi-Fi 6 プログラムを引き継いだのですね。Wi-Fi の分野に移って最も大きく変わったことは何ですか?
DVB ファミリーの規格と比較すると、Wi-Fi 6 は地理的にも製品カテゴリの面でもはるかに大規模です。例えば、DVB-T2 は北米では使用されていません。DVB-T2 プログラムは、プログラムに参加しているすべての SEP 権者を含めて、真のワンストップショップを構築できたという点でもユニークでした。そのため、ごく限られた状況でしか訴訟が行使されることはありませんでした。
これを MPEG Audio と比較するのは難しいです。時代が全く違うからです。20 年以上前にこのプログラムを開始したときは、国境措置などの手法を頻繁に用いていました。市場と実施者がライセンスの重要性を認識するうえで、この手法が役立ったのは確かです。しかし、年月を経てこの手法の枠組みが進化し、現在では税関執行よりも特定の訴訟手続きが中心になりました。
Wi-Fi 6 に関しては、40 社近くのライセンシーが当社のソリューションを利用するようになり、市場でも当社のソリューションが広く認知されるようになりましたが、特許権者の間では依然として訴訟のニーズがあると思われます。それは、応答性が完全に欠如した企業や、ライセンス取得の意思が明らかにない企業が残念ながら存在するためです。
ここ数ヵ月、パテントプールでは大規模な取引が行 われていました。パテントプールが勢いを増したことにより、ライセンス議論の雰囲気に変化が起きていますが、これについてどう思いますか?
大規模企業が訴訟なしでライセンスを取得する場合は、常に前向きの雰囲気です。ありがたいことに、当社のパテントプールの特許権者は非常に活発です。彼らは法廷で権利を上手く守り、実装者と双方向でやり取りができています。これは、パテントプールの価値提案を実証するうえで役立ちます。
確かに、これまで応答性が欠如していた企業の中には、特許権者からの訴訟を見て、アプローチを変えて当社と契約するようになった企業もいます。とはいえ、実際のところは企業によります。ライセンス取得の意思がなければ、訴訟を起こしても、そのような企業に対してライセンス議論に真剣に取り組むよう説得できるとは限りません。
ご自身のライセンスの経験は、プログラム管理の任務にどのように役立ちましたか?
個人的な見解としては、プログラムマネージャーにとってライセンスの経験は必須です。潜在的なライセンシーの考え方、市場、ニーズを理解していなければ、特許権者にライセンシーの視点を伝えるのは困難です。
Wi-Fi 6 に関しては、プログラムが複雑で、複数の企業が関与しているため、私はプログラム管理に 100% 専念しています。ライセンス側で起きていることに関しては、一般的な見解を持ち合わせているので、最も重要な対話の場面で見解を示すことができます。各交渉の各手順を個人的にフォローしていなくても、経験則から各交渉のバックグラウンドを明確に把握し、市場の期待を適切に理解することがで きます。
ライセンス供与のバックグラウンドも市場に耳を傾けるうえで役立ち、プログラムを成功させる鍵となります。私は、プールメンバーとライセンシーの両方のビジネスニーズを大事に考えます。成功は、適応性を保ちながらバランスのとれたソリューションを構築できるかどうかにかかっています。
全体として、Wi-Fi 市場で最も大きく変化した点は何だと思いますか?
これまでの大きな変化は、Wi-Fi 6 プールライセンスを取得する価値に対する認識が高まっていることです。当社では、プログラムのポートフォリオはすべて大事に考えなければならないことや、個々の特許権者の R&D 貢献に報いることが重要であるというメッセージを発信しています。どのようなときも、ライセンス取得の意思がない企業や、訴訟がなければ何もしない企業はいるものです。しかし、プールライセンスでは非常に公正な条件で広範囲な提供を実現できることが誠実な事業者に明確に伝わってきています。
最後になりますが…
休暇中によく行く場所はありますか?
文化を感じられるところならどこでも行きます。基本的に、私は異なるバックグラウンドを持つ人や異なる言語を話す人と交流するのが好きで、非常に豊かな経験だと思っています。もし、これらの要素を兼ね備えた場所があったら、間違いなく私にぴったりで、行ってみたくなります。
好きなテレビドラマは何ですか?
連続もののテレビ番組はあまり見ません。読書の方が良いです。さまざまなジャンルを漁るのが好きです。今、Halldór Laxness の本を読んでいて、とても面白いです。
これまでに受けた最高の仕事上のアドバイスは何ですか?
何年も前ですが、何があっても自分に忠実でいるようメンターに言われました。なので、そのように努めています。
