シズベルと Nordic Semiconductor のセルラー IoT 契約は、双方にとって大きな成果に

カテゴリ
IoT
日付
2024年6月06日

今回の合意は、技術開発者と実装者の双方が、IoT 特許ライセンスの複雑さに対して市場ベースの解決策を共同で模索していることを示しています

文責:Mattia Fogliacco

先月、シズベルは Nordic Semiconductor との 合意を発表 しました。この合意により、同社の顧客は、シズベルのセルラー IoT パテントプールを通じて提供される LTE-M および NB-IoT の標準必須特許を保有する 30 社以上の特許権者から、最終製品に対するライセンスを取得できるようになります。

IoT のように急速に進化する分野において、このような合意は不可欠です。最先端技術にシンプルかつ効率的にアクセスできない場合、スマートヘルス、スマートエネルギー、スマート農業、スマートシティなどの多様な分野で、大企業・中小企業を問わず推進されている幅広いイノベーション活動が停滞するおそれがあります。事業を前進させるための投資を行うには、標準必須特許(SEP)ライセンスにおける予測可能性と透明性、そして現実的なロイヤリティ料率が企業にとって不可欠です。

こうした条件を満たすライセンスを提供することで、本合意は不確実性と訴訟リスクを軽減します。これにより、企業は自社の強みである分野、つまり、IoT 市場向けの新たな革新的な製品・サービスの開発に専念できるようになります。

2024 年 5 月 8 日に発表されたこの合意は、 膨大な努力の末に実現したものです。C-IoT パテントプールのプログラムマネージャである Sven Törringer およびライセンスプログラム責任者の David Muus が尽力したのに対し、交渉の相手側である Nordic の上級法務顧問 Martin Ekelund 氏、セルラー IoT 担当プロダクトディレクター Kristian Sæther 氏およびそのチームが同様に努力を重ねました。

しかし、関係者は彼らだけではありません。我々がプロセスを通じて常にパテントプールの特許権者と連絡を取り、情報共有とフィードバック収集を行う一方で、Nordic も顧客と継続的に対話を重ね、求められるソリューションを把握していました。

交渉は困難を伴いながらも友好的に進み、すべての関係者が、技術の導入を促進し、知的財産を活用する事業者の負担を軽減するための解決策を模索する姿勢を共有していました。

実践的なソリューション

当然ながら、技術開発者やパテントプール運営者と、技術導入企業の間で意見が完全に一致することはありません。 最近 IAM のインタビューで (有料記事)例えば、Ekelund 氏と Sæther 氏は、Nordic が EU の提案する SEP ライセンス規制を支持していることを認めています。シズベルがこの提案された規制について異なる見解を持っていることは、周知の事実です。しかし、我々と同様に、Nordic にとって最も重要なのは、IoT がもたらす課題に対し、実行可能な解決策を見出すことです。

この点は、Sæther 氏が IAM に対して強調していた内容でもあります。Sæther 氏は次のように述べています。「市場の効率化には何らかの措置が必要ですが、規制が発効するまで(あるいは実際に発効するかも不明な中で)待つことはできません。当社の顧客の多くにとって、ハンドヘルド機器や自動車産業とは異なり、IoT には競合技術が存在します。セルラー標準必須特許(SEP)のライセンスが簡素化され、適切な料率で提供されなければ、たとえ劣った技術であっても、他の選択肢を検討せざるを得なくなります。」

Ekelund 氏は、この点こそがシズベルのパテントプールが際立つ理由だと述べています。同氏は次のように説明しています。「IoT には数千にも及ぶ製品が存在し、その多くはまだ発明すらされていないものです。価格帯も $10 から $1,000 と幅広く、用途も非常に多岐にわたります。垂直統合ではなく、規格をライセンスの対象とするという考え方こそが、シズベルの構想を魅力的にしていたのです。」「これが合理的な解決策になりうると信じていなければ、私たちは決してこの枠組みに参加していなかったでしょう。

Nordic が、他の部品メーカーもこのような取引を前向きに評価してくれることを期待していると聞き、非常に興味深く、また嬉しく感じました。しばらくは我々だけの取り組みとなるでしょうが、それが短期間にとどまり、業界全体がこのアプローチを採用して、成長に対応した機能的な IoT エコシステムを構築できることを願っています」と Ekelund 氏は IAM に語りました。私もまったく同感です。

学びと得られた教訓

では、Nordic との合意から私たちは何を学べるのでしょうか。私が強調したい点がいくつかあります。

  • この合意は、関係者すべてにとって真のウィンウィンとなるものです。シズベルのセルラー IoT パテントプールに参加する特許権者は、世界トップクラスのイノベーションに対する投資に見合ったロイヤリティを受け取り、かつ技術導入の迅速化が可能になります。一方、Nordic の顧客には、30 社以上の特許権者との個別交渉、シズベルから直接取得するプールライセンス、Nordic を通じて取得するプールライセンスという、3 つの選択肢が提供されることになります。重要なのは、これが既存の Nordic 顧客だけでなく、新規顧客にも適用されるという点です。

  • この合意は、技術開発者と技術導入企業を代表する 2 つの欧州企業が、特に中小企業のニーズを念頭に置いて合意した新たな形の取引です。これは、SEP 規制を検討している欧州委員会にとっても、考慮すべき重要な要素といえるでしょう。

  • この合意の成立には 1 年を要しましたが、SEP ライセンス規制案が提示されてからは、すでに 1 年以上が経過しています。すべてが順調かつ迅速に進んだとしても、この規制が採択・実施されるまでには、なお数年を要する見込みです。そのころには、状況がどれほど変化しているか想像してみてください。

  • だからこそ、市場に基づくソリューションは、常に規制による対応よりも迅速かつ効率的なのです。市場を熟知し、そこに携わり、その成功に直接利害関係を持つ人々によって考案されるものだからです。

傾聴と学び

シズベルでは、世界クラスのパテントプールを構築・運営することは、継続的なプロセスであると強く信じています。それは、特許権者だけでなく、その技術を導入する技術導入企業との対話も含みます。

当然ながら、特許権者は研究開発への投資の回収を求めていますが、それと同時に技術の普及も望んでいます。これを実現するには、我々が TPE(透明性・予測可能性・効率性)と呼ぶ要素に加え、市場が妥当と認める水準に設定されたロイヤリティ料率が不可欠です。

Nordic との合意からわずか 1 週間後、 シズベルはセルラー IoT パテントプールにおける新たな低価格の料金体系を導入すると発表しました。この新たな枠組みでは、NB-IoT 製品に対するロイヤリティ料率を、販売価格に応じて 1 ユニット当たり最低 $0.08 に設定しています。従来、これらの製品には 1 ユニット当たり一律 $0.66 のロイヤリティが適用されていました。

LTE-M および LTE-M/NB-IoT 両方を実装するデバイスについては、販売価格が $20〜$60 のスマートセンサーデバイスを対象とした新たな中間層ロイヤリティ料率($0.66)が導入されました。これは、当該セグメントに対して 50% の料率引き下げとなります。

あらゆる関係者の声に耳を傾け、そのフィードバックをもとに建設的に行動すること。これこそがシズベルの真髄です。この姿勢こそが、今後長きにわたりイノベーションを推進していく原動力となるのです。

Mattia Fogliacco はシズベルグループの社長です。

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