2025 年の SEP 市場における重大ニュース

カテゴリ
ライセンスに関する見解
日付
2025年12月19日

週刊 FRAND ニュースダイジェストの最初の一年を振り返り、SEP 市場の読者の皆様から最も関心を集めた契約事例、裁判・決定、政策の動向を振り返ります。

毎週月曜日、シズベルは前週の最も重要な SEP 関連ニュースのダイジェストをまとめ、FRAND コミュニティへのサービスとして無料のメール配信リストを通じ、お届けしています。最初の一年間で本ダイジェストの読者数は増加し、シズベルのクライアントやパートナーの数を超え、他の特許権者や実施者、政府関係者や民間弁護士も含まれるようになりました。

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週刊ニュースレターをまとめる作業は私たちにとっても有益なプロセスであり、その成果が皆様の有用なリソースとなっていれば幸いです。

どのようなニュースが読者の皆様の最も大きな共感を得たのか、開封数や閲覧数、クリック数につながったのかを確認するのは大変興味深いことでした。2025 年の締めくくりにあたり、私たちは指標を詳細に調べ、ニュースレターに掲載された中で最も高い関心を集めた記事を特定しました。その結果は、FRAND をめぐる一年間を的確に凝縮したものとなっています。

注記:なお、シズベル関連の動きに関するニュースは除外しており、別途あらためてご紹介します。

1 月:トランプが初日に次期 USPTO 長官を任命

トランプ政権は発足初日に、USPTO 長官代行の前例のない任命により、多くの関係者を驚かせました。当社は当時、Coke Morgan Stewart 氏の就任について、「トランプ政権は、IP 重視の姿勢と強力な特許権を支持する立場の両方の点で、政権の方向性を示したようだ」と指摘しました。

その見方は、その後の動きによって裏付けられることになります。Stewart 氏は暫定長官であった間、重要な施策を推進するための支援を得ており、続いて John Squires 氏が長官の地位に就くと、主に特許権強化の方向において、多大な転換が生じました。

jan

2 月:SEP 規制の撤回

欧州委員会による SEP 規制案撤回の決定は多くの関係者を驚かせました。ただし、同法案が理事会の加盟国から十分な支持を得られていないことは、次第に明らかになりました。私たちは当時、次のように記しています。「今こそ、誰もが合理的だと判断できる前進の道筋を見出す好機だ。」さらに、「委員会は、一時停止ボタンを押すことで、実用主義、常識、そしてバランスが優先されるための余地を生み出した。」と述べました。

この「一時停止ボタン」という表現は適切だったと言えるでしょう。現在、欧州議会は委員会の決定を法廷に持ち込んでおり、本件は引き続き進展中のテーマです。

feb

3 月:英国控訴裁判所の驚くべき判決

英国控訴裁判所は、Ericsson が複数の司法管轄区域で差し止め命令を請求することによって、Lenovo に対する誠実義務に違反したと判断し、さらに同社を「ライセンス取得の意思がない実施者」と位置づけた判決は、世界の SEP ライセンス市場に衝撃を与えました。この年の後半に両社は和解に至ったものの、英国の暫定ライセンス救済策は論争の的になりました。

同控訴院は同月、Avanci の 5G 自動車プログラムのグローバル FRAND ロイヤリティ料率に関して、英国の裁判所には管轄権がないためこれを設定できないとし、2 対 1 で Tesla に敗訴の判決を下しました。この判決については、英国最高裁判所による審理が行われる予定です。

mar

4 月:Fortress による大規模な 4G-5G 投資

Fortress Investment Group の関連会社が Shanghai Langbo から何千もの特許を取得したというニュースは、多くの読者の関心を集めました。同社は知的財産市場におけるハイレベルなプレーヤーで、この取引は金融投資家による SEP への関心の高まりを示しています。この動きは新年に向けても注目し続けたいテーマです。

apr

5 月:Apple に 7 億ドルの損害賠償判決

多額の損害賠償判決は常に注目を集めますが、Apple が関与する知的財産関連のニュースとなれば、なおさらです。イングランド・ウェールズ控訴院が、第一審でこの iPhone を扱う大手企業に非常に有利とされていた判決を覆し、PanOptis に対して数億ドル規模の有利な判決を下したという事実は、大きな話題となりました。さらに注目すべきは、その審査員団に Birss 判事と Arnold 判事という英国における FRAND/SEP 分野で最も経験豊富な裁判官が名を連ねていたという事実です。11 月、英国最高裁判所が Apple からの上告の審理に同意したため、2026 年には歴史的な訴訟対決につながる可能性があります。

may

6 月:統一特許裁判所(UPC)が反訴訟差し止め命令を下す

InterDigital が Disney に対する UPC の訴訟差止命令の取得を禁じる差止命令を獲得しました。これはマンハイム支部が下した初の命令です。これは、メディアとエンターテイメントの巨人である DIsney が、InterDigital によるブラジルでの販売差し止めの執行可能性を阻止するよう米国の裁判所に申し立てを行ったことを受けたものです。本件は、国境を越えた SEP 訴訟が複雑化している現状を示す 2025 年に相次いだ動きの 1 つでした。

jun

7 月:ドイツの大規模な FRAND 介入

ZTE と Samsung の間で争われたドイツでの訴訟紛争を契機に、ミュンヘンを拠点とし尊敬される Oliver Schön 裁判官が、SEP 訴訟に関する多くの論点について詳細なガイダンスを公表しました。この 16 ページの文書では、FRAND の性質、ロイヤリティ算出、契約締結のための訴訟の脅威、ライセンス取得の意思の有無、暫定ライセンスに触れています。この文書の公表は、ドイツの重要な司法関係者の FRAND 哲学を知る貴重な機会を提供したことから、読者の広い関心を集めました。

jul

8 月:プール料率設定をめぐる訴訟、連邦巡回控訴裁判所へ

裁判所がプールのロイヤリティ料率を重視する公算が、Tesla と Avanci が関与する英国の訴訟だけでなく、Access Advance と Roku が関与する米国の訴訟でも高まっています。マサチューセッツ州連邦地方判事は 7 月、そのような決定を下す管轄権はないとの判決を下し、料率決定を求める訴えを棄却しました。Roku がこの決定を不服とし、連邦巡回控訴裁判所に上訴したというニュースは、当社を含む業界関係者の間で大きな関心を集め、引き続きこの訴訟は注視されることになりそうです。

aug

9 月:司法省弁護士が FRAND に介入

SEP と反トラストが交わる分野の問題に対する米国新政権のアプローチについて洞察を求める読者は、ニューヨークの講演における司法省反トラスト部門の Dina Kallay 副司法長官の発言に注目しました。Kallay 氏は、第一次トランプ政権時に定められた原則を踏襲し、「実施者によるホールドアウトは、イノベータによるホールドアップよりもイノベーションにとってより深刻な脅威となる」と述べ、契約上の FRAND コミットメントによって保証された協調的な標準開発が大きな成功を収めていることを強調しました。さらに同氏は 12 月、ドイツと EU の規制当局から承認を与えられた自動車産業の LNG に対して懐疑的な見方を表明したことで、改めて注目を集めました。

sep

10 月:PTAB における知的財産権革命

John Squires 氏は、9 月に USPTO 長官に就任以来、大きな存在感を示しています。当事者系レビュー体制の改革という氏の挙げた議題は、市場関係者の強い注目を集めています。就任後初の公の場での発言において Squires 氏は、Coke Morgan Stewart 氏による裁量的拒否への変更を支持しました。さらに 10 月には、従来は PTAB パネルに委ねられていた申し立て受理の判断権限を、自らが担うようになりました。同時に、氏は有効性審査の繰り返しを制限する、いわゆる「ワン・アンド・ダン」規則パッケージに関する協議を開始しました。

oct

11 月:Transsion が照準に

Ericsson が 11 月に中国のスマートフォンメーカー Transsion に対して起こした訴訟キャンペーンは、読者の大きな関心を集めました。この発表には、Ericsson の最高特許執行責任者である Robert Earle 氏による、「ホールドアウトは現実に存在し、阻止されなければならない」と題した力強い声明が添えられていました。この声明には、訴訟に踏み切るまでに、両社の間で約 10 年にわたって続いてきたやり取りが記されています。さらに、Ericsson が訴訟を提起した司法管轄区域のリストにナイジェリアが含まれていたことで、この動きは 1 つの象徴的なマイルストーンとしてさらに注目を浴びることになりました。

nov

12 月:統一特許裁判所(UPC)に FRAND 料率設定求める動き

UPC は一年を通して多くの重要なニュースで取り上げられてきました。この裁判所は注目度の高い SEP 訴訟を呼び込み続け、英国とスペインに及ぶ差し止め命令では域外管轄権を有することを示し、さらに、初の暫定ライセンス差し止め命令を発出するなど、その存在感を強めています。最近では、UPC の裁判官が FRAND 料率を設定できるかどうかという問題が表面化しています。Sun Patent Trust をはじめとする複数の特許権者は、同裁判所にその方向での判断を求めており、この問題について控訴裁判所で審理されることになっています。これは、2026 年に向けて世界の FRAND の枠組みを大幅に塗り替える可能性を秘めた、もう 1 つの進行中の重要なトピックです。

dec

このほかにも年間を通じて多くの重要な動きが見られ、その多くがシズベルのプログラムに関与するものでした。近く公開予定のシズベルの年次総括にもご期待ください。

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