Sisvel Connect 2025 での 6 つの重要ポイント
FRAND/SEP 市場のあらゆる要素を寄せ集めて、共通の懸念事項を議論し、自分たちの本音を自由に発言できるようにすることができれば、記憶に残る結論が得られることでしょう。バルセロナでの刺激に満ちた 3 日間を Jacob Schindler と Joff Wild がレポート
10 月 21 日~23 日、Sisvel Connect 2025 がバルセロナで開催されました。来場者は 200 人以上に上り、前年の 2024 年に比べ 25% 増加しました。当社のパテントプールで特許を提供している団体からは、ライセンス供与企業の上級幹部が数十人も参加し、他の企業の IP 責任者リーダーによる参加も見られました。
シズベルのプログラムに参加している特許権者向けの会議に加えて、連夜の夕食会、ネットワーキングイベント、招待者限定の 1 日カンファレンス「Navigating the Changing FRAND World(変化する FRAND の世界を乗り越える」が開催されました。このカンファレンスは、政策、戦略、技術、市場の発展に焦点を当てたもので、著名なネットライセンシーなど、多数の講演者を招いて行われました。今回は、「SEP/FRAND のエコシステムが有するあらゆる要素を寄せ集めて」というシズベルのコミットメントと、「違いがある場合には、話し合って解決 策の可能性を見つけるのが常に最善の選択肢である」というシズベルの信念を反映する内容となりました。
このイベントはチャタムハウスルールで行われ、誰が発言したのかはその場にいる人以外知ることができません。しかし、議論の内容はその限りではありません。イベントの重要ポイントは以下の 6 つです。
ライセンス供与に永続的な成功はない
電気製品のオープニング対談では、Sony CSO の御供俊元氏と元シズベル CEO の Karel van Lelyveld がさまざまな教訓を紹介しました。これは、二人が開拓をサポートした市場モデルやビジネスモデルに従事するライセンス供与の幹部向けに示されたものとなります。特に印象的だったのは、特許ライセンスの供与において永続的な成功はないということでした。ある年に莫大なロイヤリティを生み出しても、新たなテクノロジーやビジネスモデル、消費者の傾向変化により、翌年は状況が大きく変わる可能性があります。「自分が構築したプログラムが永久に続くと思ってはいけません」と語りました。ライセンス供与における持続的な優れたキャリアとは、10 年に 1 つの成功プロジェクトに基づいて構築されるものなのかもしれません。その間には数多くのフライングや失敗が存在します。パテントプールやプログラムが幸運の鍵になることがあります。例えば、単なるライセンスソリューションの構築が、基盤技術の実現を叶えてしまうことがあるかもしれません。一方で、調整が鍵になることもあるでしょう。これに関しては、料率の引き下げによりロイヤルティの全体量が大幅に増加する可能性があることが例として挙げられました。重要なのは継続的な改革です。「常に新しいことに挑戦しなければならない」
SEP 市場の透明性が実現しつつある
SEP に関する透明性に関しては、多くの人がさらなる透明性を求めています。これについては、より多くの情報を公共圏に取り入れようと熱心に取り組んでいる 2 つの組織が取り上げられ、会議参加者に紹介されました。1 つは、特許や技術の監視機関として設置されている「EPO」。もう 1 つは、3 年間の SEP 戦略を実行する「WIPO」です。どちらのプロジェクトも、意思決定に役立つデータを求める業界や政府からの真の需要に応えるものとなります。これらの取り組みは、政策立案者が定期的に世論の反応を探る抜本的規制改革ほどインパクトが感じられないかもしれません。しかし、市場参加者、特許審査官、政策立案者をはじめ、一般の人々が入手できる情報に関しては、さまざまな進歩が実現しています。こうした取り組みは、必須特許、ライセンス条件、契約の締結に関する情報を公開するパテントプールなど、業界の取り組みによって補完されます。もちろん、SEP 市場に明確さをもたらすことに非常に意欲的な民間のデータプロバイダの存在もあります。これにおいては誰もが認める成果を挙げています。どれもが賞賛されるべきことであり、SEP における透明性とは何なのかを改めて考えてみるよう促していく必要があります。こうしたことが、市場で求められているわけではないものの、市場で広がりつつあります。
バルカン化の危険
SEP と FRAND は、世界中の政策立案者からますます注目を集めている一方で、裁判所の動きにも影響を与えています。午前のセッションでは 、米国、EU、英国、中国で起きていることに関する最新情報が詳細に展開され、いくつかの重要な分野で事情が変化しているようだと言う声が多く上がりました。「バルカン化」という言葉が何度か出てきました。料率設定、暫定ライセンス、ライセンス交渉グループ、差止命令などの主要な問題に対して、さまざまな地域や国で異なるアプローチを展開し続けると、現在のグローバルライセンス市場がますます断片化する可能性が高まり、ライセンサーもライセンシーも同様にコストや複雑さが増大するリスクがあると、講演者も代表者も口を揃えます。仲裁などの裁判外紛争解決手続きのアプローチが 1 つの対応策になるかもしれませんが、責任は双方にあるものです。ライセンサーにとって説得力があるように見えるものが、ライセンシーにとって必ずしも説得力があるとは限らず、その逆もまた然りです(特に、ほとんどの結果が極秘であるときには)。そこで、市場ソリューションの存在です。パテントプール、防衛的特許集約の取り組み、販売許可プログラムなどのアプローチは、細分化された規制の世界によって生み出された不確実性を回避するうえで非常に重要な方法となります。政策立案者に任せてしまうと、彼らが提案する解決策は、法律の制定にかかる時間を考えると、時代遅れのものになると考えられ、意図しないところで悪影響を招く結果になる可能性が極めて高くなることが指摘されました。
すべては接続性
予想通り、Sisvel Connect の来場者の間では、今後数年間で規格ベースのライセンスがどのようになっていくかに多くの関心が寄せられました。しかし、大きな変化を期待している人は失望するかもしれません。技術導入が追いつかない時代に入っていると代表者は言います。規格を構築する費用は相対的に高くなく、少人数で多くのことができるようになります。これは過剰生産につながり、多くのイノベーションを議論していかなくてはなりません。開発されているのに活かされていないものがないか。そうした隠れたものを探そうとする人にとっては、当然良い機会となるでしょう。接続性こそライセンスの大きな原動力となるというが全員の意見でした。衛星や防衛との関連性への注目が高まっていることも見逃せません。そこには AI が存在します。すべてを支える基礎技術があるのですが、比較的古くなっています。つまり、特許よりもノウハウなのです。シリコンバレーのエリートがトップレベルのプログラミングの才能に巨額の給与を与えているという事実が、それを物語っています。標準ライセンスが重要な役割を果たす可能性があるのは、AI が生み出すネットワーク相互運用性およびその他の接続性の課題を有効化するときです。機会を見つけて行動を起こすことが成功への鍵になります。
Wi-Fi のエピソード
シズベルが Wi-Fi 6 プールを立ち上げて以来、Wi-Fi ライセンスは進化を遂げました。その驚異的な進化について、新たなライセンス戦略に関するパネルで語られました。旧世代の Wi-Fi は、より大きなライセンス環境での付け足しのような存在でした。Wi-Fi の機能が向上し、ある講演者の言う「自宅向けのセルラー方式」のようになっていく中、市場が関連の特許技術の価値を見誤っていたことが明らかになりました。シズベルプールは、2 年間の ファシリテーションを経て 2022 年に運用が発足し、この 1 年間で Acer や Cisco などの大手企業との大口契約を着実に継続しています。プログラムの成功への鍵は何だったのか?ライセンサーライセンシー/企業間で適用される契約条件、積極的にライセンス対応に関与する特許権者、技術価値を認識している裁判所、シズベル内やパテントプールのライセンサーの間で上がっている声に耳を傾けようとする誠実な意欲のほか、評価されたときに料率を引き下げることも成功への鍵として挙げられます。その結果、イノベータは報酬を得て、実施者は必須の権利を確保できるようになります。また、Wi-Fi の技術開発に対して、より多くのリソースを投入する企業が増えています。その結果、新世代の規格は、高頻度で大幅な進歩を遂げています。
誠実さのある充実した議論。そしてまた来年
誠実なネットライセンサーとネットライセンシーを一堂に集めて、チャタムハウスルールでお互いに話せるようにすると、一連の重要かつ興味深いインサイトが得られたり、充実したやり取りができたりすることが期待できます。それが Sisvel Connect です。会議セッションだけでなく、他の会議、ネットワーキングブレイク、夕食会でも会話が途切れることはありませんでした。素晴らしい出会いと発見がありました。はっきりしていたことは、誰もが同じ市場にいることを認識し、市場が効率的に機能することを求めていることでした。意見が分かれるとすれば、それを達成する最善の方法でしょう。しかし、少なくともいくつかの分野では、意見を一致させることができると確信できました。「Candour」という言葉が頻繁に出てきました。どういう意味か?誠実に関与し、透明性を示し、安心感を与えることです。こうした信頼感が基本となります。ライセンシーは、比較、クレームチャート、発明文書を必要としています。ライセンサーは、単なるホールドアウトのゲームではないという確信を必要としています。両者は、相手のビジネス上の課題を理解する必要があります。「狂気の定義は、価格発見のために米国裁判所に訴えて何百万ドルも支払うことである」とある講演者が述べました。その他には「新しい業界の企業は標準化プロセスに関与して利益を享受できるようにする必要がある」という声も上がりました。最も難しいのは、相手方に柔軟性が全くなく、確立されたプレイブック以外に解決への道の可能性を探ろうとしない場合です。特許権者は、外部の弁護士よりもはるかに柔軟性があります。したがって、可能な限り弁護士ではなくビジネス関係者と関与するようにします。耳を傾けることが非常に重要です。それが「理解する」ということです。今年の Sisvel Connect では、FRAND/SEP の業界のあらゆる問題を解決できましたでしょうか?当然、無理だったでしょう。しかし、市場が一体となって建設的な対話を行うことができることがわかりました。それは継続していかなくてはならないものであり、進歩の可能性をもたらすものです。取引を行う人は、市場が機能する仕組みを誰よりも良く知っています。したがい、市場をより良くしていくには、こうした人たちが重要になっていきます。そうした動きはすでに始まっています。できること、実行することはたくさんあります。Sisvel Connect 2026 へのカウントダウンはすでに始まっています。招待状のチェックをお忘れなく。